最高裁判所第三小法廷 平成4年(オ)1879号 判決
上告人
日鉄鉱業株式会社
右代表者代表取締役
吉田純
右訴訟代理人弁護士
関孝友
被上告人
岩元武雄
被上告人
菊池己成
被上告人
後藤彌悦郎
右三名訴訟代理人弁護士
川人博
吉田健一
藏本怜子
鴨田哲郎
山本孝
伊藤恵子
室井優
平和元
土田庄一
山本高行
右当事者間の東京高等裁判所平成二年(ネ)第一一一三号、第一二九九号損害賠償請求事件について、同裁判所が平成四年七月一七日言い渡した判決に対し、上告人から一部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人関孝友の上告理由第一及び第三について
所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係の下においては、被上告人らは上告人の安全配慮義務違反によりじん(塵)肺に罹患したものというべきであり、上告人の責任を限定すべき旨の上告人の主張は失当である。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、右判断は、所論引用の判例に抵触するものではない。論旨は採用することができない。
その余の上告理由について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示するところに照らし、正当として是認することができ、その過程にも所論の違法は認められない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 可部恒雄 裁判官 園部逸夫 裁判官 大野正男 裁判官 千種秀夫 裁判官 尾崎行信)